夢の欠片ーパニック障害な私ー

パニック障害と不安障害を抱え、 なんとか生きている私の日常。

2017-08

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池の辺にて (1)



公園の池の辺に腰を降ろして、

私はいつも空想を巡らせていた。

何時間でも、じっとしていられた。

心だけは、縦横無尽に飛び回り、

窮屈なこの体へ戻って来るのを嫌がった。

日々移ろいゆく季節の彩りを眺めてさえも、一日なんて、あっという間に過ぎる。

鳩の仕草を観察していても、

風船の行方を追いかけても、

子供達の遊ぶ様子を眺めていても、

日が暮れるまで、

私はいつもそこに居た。


ある日、私の前に一人の男の子がやってきた。そう年は違わないみたいだ。

「何をしてるの?」

「眺めてるの。」

「なにを?」

「何って、何でも・・・」

「何でも?」

「そう、眺めるものは、たくさんあるわ。」

「たとえば?」

「ほら、あの犬、散歩してる。

大きな犬ね。

連れて歩いてる子供のほうが小さいわ。」

「それで?」

「さっきから、犬が言うこと聞いてくれなくて、半分泣きべそ・・・うふふ。」

「ほんとだね。」

彼は、私の隣に腰を降ろした。

「もう少ししたら、あの子のお兄ちゃんが、戻ってきてくれるのよ。」

「どうしてわかるの?」

「さっき、いっしょにここへ来て、お兄ちゃんは、仲間達と、サッカーやってるの。

だから、もうすぐ、日が暮れるから、弟のところに戻ってくるの。」

「ふーん。」

彼は、あまり興味なさそうに聞いていた。

「あなたは、なぜここに居るの?」

「僕は・・・なんでだろうなぁ。

なんだか、家に居たくなくて・・・

なんとなく、ぶらぶらしてた。」

「そう、家って窮屈だもの。

あんな所にじっとしてなんかいられやしないわ。」

「ああ、そうだね。

まったくだ。

家って、窮屈なんだ。」

「でしょ、だから、私はいつもここに居るの。」


彼は、次の日も来た。

「ねえ、ずっとここに居て、退屈じゃない?」

「退屈?

退屈って、どんなこと。」

「え?・・・

そりゃ、退屈っていうのは・・・」

「あ、見て見て。

水鳥が、舞い降りてきたわ。

あれって、なんていう鳥かしら?」

「さあ、僕、あんまり知らないから・・・」

「ふふふ・・・

すごく楽しそう。

ね、水浴びしてるのかな?」

「さあ、そうかも・・・」

「あっ、また来た。

1,2,3・・・6羽ね。」

「君、高校生?」

「え?・・・うん、そう。」

「学校、どこ?」

「いいじゃない、どこだって。」

「ああ、そうだね。

じゃあさ、大学とか行くの?」

「大学?・・・そうね。

大学って、行ってみたいわ。」

「そう、志望校は?」

「ああ、そんなのは、ないの。」

「ない?・・・ったって・・・」

「んー、ねえ、大学って、なんかいいわ。

なんか、かっこいいわ、大学生って、」

「かっこいい?」

「そうよ、大学行って、一人暮らしして、

アルバイトして、楽しそう・・・」

「ああ・・・そう・・・ね。

そうだといいね。」

「あなたは、どこか受けるの?」

「ん、いちおう、ね。

T大を・・・」

「ええっ!

それって、すごいことじゃない。」

「すごい?」

「そうよ。

私なんか、そんなとこ受ける友達一人もいないわ。

クラスの中には、いるみたいだけど。

すごいわ、優秀なのね。」

「僕は・・・僕、ほんとは・・・

T大なんか、行きたくないんだ。」

「え、なんで?

入れるんでしょ?」

「今のところ、担任はそう言ってるよ。

でも、僕は、ほんとは、美大に行きたいんだ。」

「美大ですって!

美大って、最高に素敵じゃない。」

「そうかな?」

「そうよ。

ああ・・・び・だ・い・・・

なんて素敵な響・・・」

「でも、両親に反対されてる。」

「あら、どうして?」

「美大なんか出て、どうするんだ?

・・・って・・・」

「どうするって?

あなた、絵を描くの?

それとも、彫刻? イラスト? 版画?」

「油絵だよ。」

「まあぁ、ほんとに素敵。

ねえ、あなたの絵、見せて欲しいわ。」

「そりゃあ、いいけど・・・」

「美大を出て、画家になるんでしょ?

すごく、素敵な事じゃない。

そしたら、こんなきれいな空とか、

木とか、花とか、人とか、

なんでも、好きなものを描けるんだわ。」

「ああ、そうだね。」

「あ、ねえ、いつか・・・

いつでもいいの。

私の絵、描いてくれない?

私、自分の肖像画って、

一枚も持ってないの。」

「あんまり持ってる人はいないと思うけど、

いいよ、君を描いてあげるよ。

いつか、きっと・・・」

「そう、ほんとに?

いつでもいいの。

ずーっと先でもいいのよ。

あー、楽しみだわ。」


 <つづく>



 

 

 

 

 

 

 

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コメント

1 ■FC2での友人追加メンバーより

短歌も少し詠ませていただきましたが、スゴク元気さが伝わってきます。NONより

2 ■ありがとうございます。

やっと、心の健康を取り戻しつつある私です。
そう言っていただけると、うれしいです。

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昌子

Author:昌子
パニック障害と不安障害になって、
10年が過ぎました。
大量の薬、副作用、家庭環境、
精神的虐待、自虐的心理状態・・・
などと闘ってきました。


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