夢の欠片ーパニック障害な私ー

パニック障害と不安障害を抱え、 なんとか生きている私の日常。

2017-08

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

眠りの街 (3)



広場は、人だかりで、ごった返していた。

楽団、踊り子、大道芸人、ポーカーのテーブル、ダーツ、花札、おはじき、お手玉、縄跳び、ハンカチ落とし、ありとあらゆる遊びが繰り広げられている。

私たちは、次から次へと、参加したり、見物したり、眠ることなど、もう頭の中から、抜け落ちてしまっていた。

「ああ、面白い。」

「ほんと、今日って、最高ね。」

そこへ、アンナのボーイフレンドらしき男の子が現れた。

「やあ、探してたんだ。」

「こんばんは。」

「彼、ナポレオンっていうの。

彼女は、マノン、いっしょに住んでるの。」

「よろしく。」

「こちらこそ。」

「ああ、ちょっといいかな。

アンナと踊ってきても?」

「どうぞ、どうぞ。

私、もう、疲れちゃったから、ここで見てるわ。」

私は、木に根っこに腰掛けて、ぼんやりしていた。

すると、

「お嬢さん」

・・・・・

「お嬢さん」

暗がりの中から、声がする。

黒い頭巾をかぶったお婆さんが、私に話しかけている。

「お嬢さん、あなた、いつまでもここにいちゃ、いけない。

帰る所があるのなら、早くお帰り。」

「え?

私、帰る所なんて、知らないの。

何にも覚えてないのよ。」

「覚えてなくても、いいんじゃよ。」

「さあ、これを飲みなされ。」

「あっ、これは・・・」

「そうじゃ、眠り苺のリキュール。

これを飲めば、すぐに帰れる。

みんな、知ってるが、誰も帰りたがらないんじゃ。」

「なぜ?」

「帰っても、居場所がないんだよ。

そういう奴等ばかりなのさ、ここは・・・

さ、早く!」

「でも、アンナが・・・」

「アンナが戻って来たら、もうダメだよ。

チャンスは、今しかないんじゃからな。」

その時、私の脳裏にはっきりと、家族の顔が浮かんできた。

「お父さん、お母さん・・・」

ああ、私、何もかも思い出した。

思い出しちゃった・・・

突然、涙が溢れ出し、広場の喧騒が、ぼやけて見える。

「アンナ、どこにいるの?

見えない、もう、何も見えない。」

賑やかな音楽や話声さえ、遠のいていく。

「早く、急いで!」

私は、眠り苺のリキュールを、一気に飲み干した。

「アンナ、ごめんね。

さよならも言わないで・・・

アンナ、もう会えないのね。

優しくしてくれて、あり、が、と・・・」


「真理子っ!」

「真理子、気が付いたのか。」

「真理子、真理子・・・」

「あ、ああ・・・

んー、私・・・」

「よかった、よかったわ、気が付いて・・・

ああ、ほんとによかった・・・」

「お母さん・・・」


そう、そうだった。

私、睡眠薬を飲んで・・・

そうよ、何日も眠れなくて・・・


「あんたったら、もう、心配させて。

母さん、生きた心地、しなかったわよ。

まったく、なんで、こんな事になる前に、相談してくれなかったのよ。」

「よせよ、そんな、頭ごなしに・・・」

「だって、だって・・・」


何日も、眠れなくて、辛くて、食欲もなくて、なんにもやる気が起きなくて・・・

なんだか、もう何もかもがどうでもいいやって思って・・・

それで・・・


「まあ、とにかく助かってよかったよ。

お前、三日も眠ったままで、このまま、永久に目を覚まさないんじゃないかって、ずいぶん心配したんだよ。」


それで、あの夜、薬をいつもの何倍も飲んで、ああ、これで、やっと眠れるって・・・

ずっと、眠っていたいって、思って・・・

嫌な事、何もかも忘れて、ずーっと、眠ったままでいたいって・・・

そう・・・

そう、思って・・・

でも・・・

でも、よかった。

帰ってこれて、よかった。

お婆さん、

私の居場所、ちゃんとあったわ。


 <END>


 

スポンサーサイト

コメント

1 ■おぉ!

昌子さん!書くのはやーい♪
そして、オチがよかったです。
うーん。すごい。

2 ■ありがとう。

楽しんでいただけましたでしょうか。
私も、楽しく書けました。
イメージが湧いてきたときに書かないと、
忘れちゃいそうで、すごい勢いで、
書いていまうんですよ。

3 ■遅れました

風邪も治り、ようやく読みました。えーっと、一応主催者なので、批評めいたことをしておこうと思いますので、ストーリーコンテスト投票所のコメントに書いておきます。

ご応募、ありがとうございました。

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://yumenokakera1957.blog.fc2.com/tb.php/74-f30e5e92
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

 | ホーム | 

FC2Ad

プロフィール

昌子

Author:昌子
パニック障害と不安障害になって、
10年が過ぎました。
大量の薬、副作用、家庭環境、
精神的虐待、自虐的心理状態・・・
などと闘ってきました。


相互リンク
 ↓
TSUKIKO
メンタルヘルス
コミュニティ

最新記事

最新コメント

最新トラックバック

月別アーカイブ

カテゴリ

未分類 (4)
パニック障害な私 (426)
小説 (11)
詩 (7)
人恋ふる歌 (0)
ブログ (12)
お知らせ (1)
音楽 (15)
ブログネタ (13)
ピグ (11)
メンヘラーのための超かんたんレシピ (7)
猫を飼う (13)

フリーエリア

フリーエリア

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

このブログをリンクに追加する

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QR

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。