夢の欠片ーパニック障害な私ー

パニック障害と不安障害を抱え、 なんとか生きている私の日常。

2017-08

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続・罪 (4)

 

「無事だったのか!?」

「あ、お兄ちゃん」

「ああ、よかった。」

「こんな遅くにどうして・・・」

「先生が、知らせてくださったんだ。

それで、すぐに飛んで来たんだ。

ここまで来るのに、こんなに時間がかかると思ったのは、初めてだよ。

よかった、ほんとによかった・・・

お前が、なんともなくて・・・」

「お兄ちゃん・・・ありがとう。

私・・・怖かった・・・」

「あの野郎、何考えてやがんだ。

まったく、自分のやってる事、全然わかってないんだな。

あいつこそ、入院すりゃいいんだ。

頭、おかしいんじゃないか。」

「・・・お兄ちゃん・・・

いっつも、心配かけて、ごめんね。」

「何言ってんだ。

お前の事、心配すんの、当たり前だろ。

ちゃんと、面倒見てやらなきゃ、父さんと母さんに、叱られちゃうからな。」

「・・・そう・・・ね。

お父さんもお母さんも、私の事、心配してくれてるよね。」

「何、決まり切った事、言ってんだよ。

すぐにでも、連れて帰りたいところだが、仕方ない、とにかく今夜はここに居てやるから、ゆっくり休めよ。」

「居てくれるの。」

「ああ、だから安心して寝ろ。」

 

翌日は、入浴日だった。

お守りを引出に仕舞って、浴室に入った。

週に二回の入浴は、気持ちがいい。

髪も洗ったので、ちょっと疲れた。

薬を飲んで、いつもより早めに、眠ってしまった。

もう朝?

ああ、まだ3時だわ。

私はトイレに立った。

薄暗い廊下は、ちょっと不気味だ。

用を足して、トイレのドアを開けると、

「やっと、会えたわ。」

あ・・・・・

「ずっと、待ってたのよ。

あのお守りを外すのを・・・」

私は、不意打ちを食らって、立ちすくんだ。

彼女と向かい合ったまま、動けない。

「ひどいじゃない。

私を一人ぼっちにして・・・」

否応なしに、その顔を、見せ付けられる。

「お願いだから、いっしょに来て。

さあ、こっちへ・・・」

彼女は、階段のほうへ行こうとしている。

「さあ、早く。」

私の体は、何かとてつもなく強い力で、引っ張られていく。

いや、行きたくない。

「行くのよ、私と。

すぐに楽になれるわ。」

行かない、行きたくない。

「さあ、こっちよ。」

私は、全身の力を振り絞って、踏みとどまろうと踏ん張っていた。

「なによ!

生きてても、なんの役にも立たないくせに、なんの為に生きようって言うのよ。」

訳の解らない怒りが、込み上げて来る。

なんの権利があって、そんな事言うの。

私は、私のものじゃない。

「そうよ!

私は、この命を生かす為に生きるわ。

あなたなんかの言うなりにはならない!」

「なんですって?!

そんな風になって、それでも、生きてるって言えるの?

あなた、一人じゃ、なんにもできないくせに。」

「関係ないわ!

今の私が、どうであれ、私は私よ。

両親が、産んでくれた大切な命よ。

私は、この命を護る務めがあるの。

あんたなんかの指図は、受けない。

さっさと、消えてちょうだい。」

彼女は、一瞬、周りの空気を、凍らせてしまうんじゃないかと思うほど、冷たい、哀しい、表情を見せた。

その顔を、私は、キッと見据えた。

精一杯の力で、彼女の念と、戦っていた。

長い時間・・・

永遠とも思える時間・・・

つ・・・と、緊張が途絶えた。

あの時と同じ笑みを浮かべた彼女は、次の瞬間、掻き消すように、消えてしまった。

 

「もしもし、あ、お兄ちゃん?

ちょっと、お願いがあるの。」

「ああ、なんだい、珍しいな。

お前が、お願いだなんて・・・」

「ええ、悪いけど、市役所に行って、離婚届の用紙、貰って来てくれない?」

「お前・・・そうか・・・

ようし、明日、朝一で行って、その足で、持ってってやるよ!」

「お兄ちゃんったら・・・」

 

私は、自販機で、レモンティーを2本買った。

談話室のいつもの席に、一本置いて、もう一本をゆっくりと、飲み干した。

 

 <END>

 

 

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昌子

Author:昌子
パニック障害と不安障害になって、
10年が過ぎました。
大量の薬、副作用、家庭環境、
精神的虐待、自虐的心理状態・・・
などと闘ってきました。


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